エステティシャンが語る心と体のケア
インタビュー Vol.1
心身のケアをエステティックの視点から
エステティシャン 緒方安寿美さん

30代前半でありながら、すでにエステティシャンとして10年以上のキャリアを持ち、累計7,000名以上の施術に加え、エステティシャン人材育成にも携わる緒方さん。美容のイメージが強いエステティック業で、心身のケアに特に重点を置く彼女の信念や、エステティックとの向き合い方には、彼女自身の実体験が大きく影響していると言う。
きっかけは自身の肌荒れに悩まされたことから
ー エステティック業へ進もうと決めた理由についてお聞かせください。
緒方: 私自身、10歳頃から肌あれに悩んでおりまして。本や周囲からのアドバイスから得たものや、皮膚科治療など様々な方法を試してきました。 それでもなかなか上手く改善とはいかず、どうしたらこの原因を解決できるのか?ということを考えていた時に、「エステティシャン」という職業があることを知りました。中学3年生の時です。それが、私が初めて「エステティック」を意識し始めたきっかけです。
その後、高校1年生の時にたまたま観たテレビで、山野愛子氏の特集をされていました。その時に観た「美道五大原則」※1 がとても心に刺さったのです。
「美道五大原則」は、身体や精神といった内面の健康状態が、外見に表れるという考えがベースになっています。要するに、内側が美しければ、外側も美しく、その逆も然りということです。それまで私にとって、できた肌荒れに対してケアをする対処法のイメージが強かったスキンケアの概念が覆されたような、そんな衝撃を受けました。この理念に共感したことがきっかけで、山野愛子氏主宰のエステティック学校への進学を決めました。
施術を通してその人の内側が見えてくる
ー これまで7,000名以上もの方々に直接触れ、施術されてきた緒方さんから見て、“人の健康“ について、エステティックを通して見えてきたことはありますか?
緒方:エステティックの施術を通して一番実感するのは「その方の精神状態や人への対応のされ方が体に顕著に出てくる」ということです。
例えば、“ストレス“1つ取ってみても、ストレスを感じた時に自分の中に溜め込んでその場をやり過ごしたり落ち込んだりされるタイプの方ですと首が短く詰まったように見え、肩・背中にその影響が出やすい。一方、顔や言葉などで外に表現できる方ですと前頭部にその影響が出やすい傾向があるといったように、筋肉のこり方や身体の見た目に違いが出てくるのです。
したがって、お客様のご要望に沿うことはもちろんですが、ただ一概に決まったエステティックの手技を行うのではなく、毎回、その方の性格や体質・ライフスタイルに合わせた施術の内容を作ります。また、施術前後のカウンセリングの工夫や、緊張状態の切り替えを促すために、五感を心地よく刺激できるケアも積極的に取り入れています。
現在は、スマートフォンによる眼や顔、手、首肩周りへの影響や、マスク生活が続く中での顔・首周りへの影響も出てきていますので、社会状況がこんなにも人の身体や心に影響するのかと改めて実感することが多いです。

香りを活用して、より多角的なアプローチを
ー エステティックを専門とされる緒方さんですが、最近ではアロマの活用にも力を入れておられます。それはどのような目的や経緯があったのでしょうか?
緒方:アロマについて意識し始めたのは、大手サロン勤務時代のお客様との出会いがきっかけです。
当時、痩身コースを担当させていただいていたそのお客様の結果が思うように変化しない時期が続き、1度だけお時間を頂戴し、カウンセリングに費やしたことがありました。そこで新たに見えてきた課題から、“緩める“ケアが必要と感じ、今まで行っていた攻めの痩身ケアだけではなく、身体の周期に応じてアロマの香りを取り入れたリラックスケアを行うようにしました。
毎回、そのお客様が「いい香り~」と仰っていたのを今でも覚えています。それに合わせるように痩身の結果もみるみる変化が得られるようになったのです。もちろん、様々な要因が合わさっての結果だと考えられますが、この時に、心の状態が身体にもたらす変化を実感したのと同時に、その心の状態に対してアロマがもたらす影響についても実感し、そこから興味が出てきました。
この経験が元となり、私自身の生活や活動を通して、アロマで日常的に心と身体の状態をケアする楽しさや効果を実感したことから、お家でのお手軽セルフケアとしてご紹介しています。特に、日々変化のある感情や過度な緊張状態などは、以前から、日常的にケアできたらと感じることが多くありました。その点アロマは、嗅ぐだけでも感覚を刺激してくれるので、ライフスタイルや生活環境を問わず気軽にお使いいただきやすいのではと考えています。
内外の自分をケアする感覚をもっと浸透させたい
ー 緒方さんの施術やエステティックへの携わり方はただ外見を美しくすることが目的ではなく、それらに影響するであろうストレスケアに焦点を当て、アロマという香りを通してそれをより感覚的に体感できるように考えられているのだなということがよく伝わってきます。
緒方さんは、エステティックやアロマをどのような方々や場面に取り入れてほしいと考えておられますか?
緒方:私にとってエステティック施術は、ありのままの自分に向き合い、心や身体に溜まった色々な“滞り"をリセットする時間だと考えています。
また、アロマは日常的に心や感情をセルフケアするために取り入れていただきたいものの1つです。
これらはどなたにでも必要とされることだと考えますので、「施術やアロマを通して日常的・定期的に自分自身のためのケアをする」という感覚が一般に浸透していくことが理想です。
この理想を掲げる理由の全ては、今回お話しした内容を含め、私自身の実体験が元にあります。特に、これから妊娠を考えておられる方や、子育て・介護などと仕事との両立をされている方には、あえて時間を作ってでもご自身をケアする時間を持っていただくことが、今のご自身にはもちろん、少し先のご自身の心身状態を考慮した時にとても重要であると考えます。
私自身の経験を踏まえて、今後はそのような方々に対するケアに注目しており、日常的な心のケアや気軽にできる数時間のショートリトリートにエステティックやアロマを活用しながら、気軽にセルフケアできる機会をもっと作っていく予定です。
※1 美道五大原則
髪:ひとりひとりに合った髪型の美しさ
顔:明るい笑顔が映える化粧の美しさ
装い:伝統を生かしながら時代に合った着物の美しさ
健康美:健康的にはつらつとした体の美しさ
精神美:素直な心と包容力をもった心の美しさ
出典: 山野美容専門学校HP 学校紹介 https://www.yamano-bc.jp/sinfo_sinfo-info.html

緒方安寿美さんプロフィール
高校卒業後、エステティシャンを目指し美容専門学校へ進学。その後、東京都内・関東圏の大手エステティックサロン、長崎県のホテルスパでエステティシャンとして働き、累計7,000名以上の施術を担当。結婚を機に熊本へ。現在は、熊本県にある自身のサロンAroma Beaute Carinを拠点にしながら日本エステティック業協会認定試験アンバサダーとしてエステティシャンの教育や育成に携わっている。
記事作成:内野


